材木座シンクロニシティ・2年前、全く同じ場所で似た体験をした!
ピコリン!
「自転車」の新しい投稿があります!
商品の個人取引サイト、○モティーが、スマホに通知を送ってきた。
「材木座から半径5km以内で、自転車売ります」の投稿があったら、通知してもらう設定にしてあるのだ。
詳細を確認すると、かなり近所の方からの投稿。
値段は高めだったが、室内保管、新品同様の出物。
何より、近くで引き取れるのは楽なので、速攻で買いたい旨メッセージを送ると、10分後に返事があった。
「引取り時期が早い方を優先します」とのことで、当日を含めて以降1週間のスケジュールが記載されていた。
引っ越しでもするのだろうか・・・、急いでいるようだ。
それなら、善は急げ、「今夜はいかがでしょうか?」と返したもののしばらく返事が無かった。
他にもっと高い入札価格を付けた人がいたかな?
取引を有利に進めるために、買い取り価格は自由に高くできる仕組みなのだ。
諦めかけていた時、受け渡し予定者に指定されたと連絡が来て安堵した。
その夜、同じ材木座町内、販売者が住むマンションへ、暗い夜道を歩いて向かった。
グーグルマップを見る限り、10分しないうちに到着するだろう。
約束の時間に少し遅れて到着すると、新しいマンションの玄関前で、
若いご夫婦が白い自転車に空気を入れていた。彼らに違いない。
「こんばんは!」と挨拶もそこそこに、書類などを確認して代金の支払いを済ませた。
取引が成立してしまえばお互いに用は無いのだが、すぐに立ち去るのも無粋なので少し雑談をした。
「実は近くで亀時間という宿をやっていまして、そこでレンタル用に使う自転車として購入させていただいたんです」
と使用用途を説明すると、メガネをかけた優しそうな旦那さんが、
「僕、前に何回か亀時間泊まったことありますよ」と、教えてくれた。
「えー、本当ですか、それは嬉しいです!」
きっと、このマンションに住み始める前、材木座を下調べしたのだろう。
奥さんは自転車を手放した理由を教えてくれた。
「使うつもりで買ったんですけど、すぐに妊娠が分かって、
ほとんど使わないままに部屋の場所塞ぎになっていたので」とのこと。
初めは周囲が暗いので気が付かなかったが、お腹に目をやるとすでに大きく膨らんでおり、来月には出産予定とのこと。
自転車処分は引っ越しではなく、出産前の身辺整理の一環だったのだ。
鎌倉の新築マンションに引っ越して、新しい生活を始めた若夫婦が、家族を一人増やそうとしていることを知り、
今日初めて出会ったのに、とても嬉しい気持ちになった。
彼らの幸せ波動がこちらにも伝わってきたのだろう。
子供の親になるという人生の新しいステージが間もなく始まる。
不安もあるだろうが、期待に満ち溢れた幸せな時期に間違いない。
ジーンと淡い感動を覚えていた時、デジャヴ(既視感)に襲われた。
あれ?この場所に覚えがある。
ここで、同じような淡い気持ちを何年か前に味わったぞ!
風景は全く違ったが、すぐに記憶が蘇った。
それは、このマンションが建つ前に存在していた三軒並んだ一軒家の一つに住んでいた老夫婦との出会いだった。
今から二年前、隣街の便利な駅近マンションに引っ越すという老夫婦が、亀時間をわざわざ訪ねてくれて、
不要になった簾(すだれ)などの上等な古道具を譲ってくれたのだった。
家の玄関で、道具の来歴やご夫婦の海外での思い出話などを伺いながら、
頂いたものを大切にしなきゃなあ、と淡い感動を覚えたことを、その時はっきりと思い出したのだった。
(その時のお話はこちらに記載 https://kamejikan.com/blog/antique-gift-from-the-neighbors)
まさか2年後、建物は変わったけど、全く同じ場所で、今度は若夫婦から自転車を譲り受けることになろうとは・・・。
その不思議な巡り合せの妙に感じ入りながら、「大切に使わせていただきます」と、
2年前と同じお別れの挨拶をして、自転車に乗って亀時間へと帰路についたのだった。
<MASA>