オリジナルを追求する個性派ベーカリー『窯GAMA』 ~材木座紹介・其の1~
年間2000万人の観光客を惹きつける鎌倉の魅力は神社仏閣だけではありません。
この地には美味しいパン屋さんが数多くあり、パン愛好家の巡礼地となっているのです。
どの店舗も独自の味と個性があるので、散策ついでに食べ比べてみるのも楽しみの一つ。
亀時間から海へ向って2分、材木座海岸のすぐそばに位置する「GAMA(ガマ)」は鎌倉の中でも、
いや全国レベルで強烈な個性を放っています。まずはホームページを開いてみてください。
http://www.ngama.com/
パンチの効いた画面と音楽に軽いジャブを喰らってしまいます。
店主のタナカ サチさんから、開業までの経緯パンへの想いなどを伺いましたのでお届けします。
意外なことに、タナカさんは子供の頃からパン好きだった訳ではありません。
大人になって大阪のアメ村で働いていたとき、近くの雑貨屋兼パン屋の
クロワッサンが美味しくてパンに目覚めたのです。
パン好きが高じて、あれこれ食べているうちに最終的にハード系パンに行き着き、
カンパーニュの本場の味を知ろうとフランスへ。
フランスではパン屋はカンパーニュが作れてなんぼと言われるそう。
カンパーニュは正式名称「パン・ド・カンパーニュ」。
田舎パンという意味で、フランスパンの一種ですが、
全粒粉やライ麦粉を使いドッシリとした食べごたえが特徴。
一ヶ月の滞在中、パリ中のパンを全部食べる勢いで、
手当たり次第パン屋を見つけたら入るという生活を続けました。
そんな中でも世界中のパン職人が勉強にやってくるお店の天然酵母のカンパーニュに
強く刺激を受けた彼女。大きく焼いて量り売りというフランスでも珍しいスタイルをやっていて、
これを日本でやりたいと決意を固めます。
帰国後、カンパーニュを独学で数年間研究。
パン屋で働いてみたものの、作りたいものではなかったので3日で辞めたことも。
試行錯誤を繰り返しながら、オリジナル天然酵母で発酵させた
卵、牛乳を使わないパンという現在の形を作り上げました。
なかでも「カンパーニュ オ ショコラ」は、現在日本中でコピー商品が出回っていますが、
タナカさんが研究の末に辿り着いた完全なオリジナル。
チョコレートが贅沢にギッシリと詰まったカンパーニュです。
フランスにも存在しない、自信を持って誇れる世界でたった一つのオリジナルパン。
内装、窯作りまでを全て自分たちの手で作り上げ、満を持して2001年に始めた店舗、
「山GAMA」は大阪中心部から車で1時間半もかかる山の麓にありました。
溢れるエネルギーで7年間、風の日も、雨の日も屋外の石窯でパンを焼き、
辺鄙な場所にも関わらず情熱で人を呼び寄せました。
しかし、山の谷間で日当たり不良、蜂に蛇もでるという困難な環境だったので、
しだいに、”風が通って、青い海がある太陽の注ぐ場所”でお店をやりたいという想いが募ります。
常連のお客様から去ることに悩んだ末、好きな人は来てくれるだろうと鎌倉へ大移動を決意。
再び半年かけてお店を自分たちで手作りして、2008年材木座で営業を再開。
GAMAは当時古い商店しか無かった材木座に新しい魅力を加えました。
余談ですが、亀時間をこの地で開業するにあたってGAMAの存在が
精神的な後ろ盾となったことを明記しておきます。
重いアンティーク扉を開けて中に入れば、センス良い遊び心に溢れる空間に
空気感に温かみを感じる昔のワールドミュージックが流れており、
のんびりとした材木座の空気に不思議と調和しています。
陳列棚に並ぶパン達は、見た目の形状も個性的。
どのパンも持ったときのズッシリした重み、食べ応えにびっくり。
普段パンを食べないお酒好きな男性にも人気なのだとか。
話を聞いて納得しましたが、主張せずとも原料は厳選されており、
細部に至るまで並々ならぬこだわりを持っていました。
タナカさんは目には見えないけど確実に必要な、人と人との良いエネルギーの交換が出来る
愉しい空間を作って、自らの溢れるエネルギーをパンという形で焼き上げて表現しているのです。
パン作りへの気持ちの込め方、取り組み方はまるで作品を制作するアーティストのようで、
その向かうベクトルは正に大量生産パンの対極。
彼女の原点は、関西の下町に当たり前にある触れ合いの暖かさと、ホスピタリティ。
そして、ちょっと心の弱った人に元気になって欲しいという気持ち。
その想いはちゃんと分かってくれる人には通じるようで、感動の手紙を貰うことも。
パン嫌いな子供もGAMAのパンは食べるというお母さんの言葉を頂戴したり、
「死んだら棺桶に入れて欲しい。」という至上の褒め言葉をいただいたたり。
持ち帰りだけでなく店内で世界のビールやチャイやコーヒーと一緒に食べることも出来ます。
折角来たなら、この空間とともにパンを味わってみてください。
パンは温めて提供してくれますし、チャイは共同経営者であるケンゾーさんが
大阪の名店で昔働いていた頃に覚えた味だそう。
仕込みに全身全霊を込めて、物凄いエネルギーを投入しているので営業は週4日だけ。
亀時間に宿泊して、運良くこのお店の営業日なら是非訪れてみてくださいね。
タナカ サチさんとフジモト ケンゾーさん
●店舗情報:
CREATIVE BAKERS and CAFE 窯GAMA-鎌倉のパン屋さん-
住所:神奈川県鎌倉市材木座5-14-18
TEL/FAX:0467-73-7076
営業日:水・金・土・日(水はフォカッチャのみ)
営業時間:12:00頃~18:00頃
ホームページ http://www.ngama.com/ 通販可
JR横須賀線 『鎌倉駅』より 徒歩20分
鎌倉駅より逗子駅行きバス約7〜8分 バス停『材木座』下車
鎌倉方面に徒歩20秒、八百屋さん隣
駐車場:なし
遠方の方は「GAMAのお得なおまかせセット」¥3,150~¥5,250(税込・送料別)もあります。
到着日時指定はできませんが、届いたときの喜びは格別でしょう。