亀時間本台湾版発売記念トークショー@台北報告 「トランジションタウンと鎌倉のコミュニティ~鎌倉の魅力の秘密~」
先日5月12日、台北の中心部、善導寺近くのカフェ「Café Philo 慕哲咖啡館 地下沙龍」にて、
亀時間本台湾版発売記念の講演をさせていただきました。
参加してくれたお客様は14,5人くらいでしょうか。儲け話でも、劇的なサクセスストーリーでもない小さな宿の主のお話ですから10人超えれば成功と思っていたので集まってくれてホッとしています。
亀時間に何度も泊まってくれている台湾の常連さん、地方再生に取り組む方、コミュニティ作りに興味がある方、たまたま仕事が休みだった方(笑)まで多様な人たちが来てくださいました。
http://www.5philo.com/index.php/carousel/item/1849-carousel-item-6
講演のテーマは主催側と相談の上、「トランジションタウンと鎌倉のコミュニティ 鎌倉の魅力の秘密」になりました。
はじめに僕の半生と3年弱のアジア・アフリカ旅を経て、仲間と亀時間を立ち上げるに至った経緯、
立ち上げに大きな力を与えてくれた持続可能な街づくりの市民運動トランジションタウンの説明、そしてトランジションタウンだけでなく多様な鎌倉のコミュニティがあることを紹介しました。
鎌倉は東京から1時間で来れる位置にありながら、漁業、農業の一次産業があります。
古都として800年以上に渡る仏教文化があることも特徴的です。
文化人も多く、市民活動が盛んで日本で先駆けて1958年に平和都市宣言しましたし、鶴岡八幡宮の裏山の開発計画を止めるための自然保護運動、ナショナルトラスト動も鎌倉から始まりました。
また面白いのが鎌倉が東京に象徴される商業主義と対照的なカウンタカルチャー的な活動が盛んであること。
世界観に新たなビジョンを与えてくれる太陽系の正確な地図兼暦、地球暦の普及率も鎌倉は高く、
ここ数年、盆踊りで平和の輪を広げていこうと活動しているイマジン盆踊り部の熱い動きからも目が離せません。
自然に恵まれている環境に加えて、伝統的なものから新しいものまでコミュニティが多様であること、文化と自らのライフスタイルを創造している人たちが多く住み、人と人のネットワークが網の目のように繋がっていることが、鎌倉の魅力の源なのだと説明しました。
講演を締めくくるにあたり、一番伝えたかったメッセージは「現状に不平、不満を言っていても何も変わらないのだから、小さくても自ら行動、変化を起こすことで、自らの力を取り戻して自分の人生を切り開こう」ということ。
海外に出てちょっと気が大きくなってしまったのか、「日本の政府は景気悪いのに良いと嘘ついてますからねー、自分の暮らしは自分で守らないといけないんです」ときっぱり言ってしまいましたよ。後でYouTubeにも載せると聞いて、公安に目を付けられないと良いけどなと思いましたけど(笑)。
主催してくれた哲学星期五さんのメンバーはボランティアで集まり、これまで8年間に渡り哲学、社会問題など硬派なイベントなどを開催しています。
彼らから自らの文化を守りたい、活動は抵抗の手段なのだという熱い思いに触れて強く共感しました。
亀時間本台湾版出版元の沐風文化出版有限公司さん、翻訳担当の李さんが主宰する柳橋事務所も独立系の出版社。出版不況は世界的なものなので彼らも御多分に漏れず大変だそう。それでもお互いがそれぞれの場所で頑張っていることを知れただけで、亀時間も弱小だけど自分たちなりにやっていこうと改めて思えました。
今回3度目の台湾訪問でしたが、同じ方向を向いている仲間と知り合えてますますその存在を近くに感じます。
全ての予定を終えて、桃園空港に着いたときのこと。EASYカードという日本のSUICAみたいな交通カードの払い戻しをしようと思っていたのですが、また来るだろうと確信してとりやめました。
もともと亀時間にいらっしゃるお客様の中で日本人に次いで多いのが台湾人。
これからも親日家の多い台湾との関係を益々太く繋いでいきたいと思います。
この場を借りまして改めて、今回の企画実現にあたり力を貸してくれた
台湾版亀時間本の出版元である沐風文化出版有限公司のWillさん、
通訳を務めてくれた柳橋事務所の李家騏さん、
主催してくれた靜慧さんをはじめ哲学星期五のみなさん、
企画を台湾と繋いでくれた亀時間の大切なお客様、安保陽さんに深くお礼申し上げます。
謝謝大家!
トークショーの内容をまとめるにあたっては、トランジションタウン鎌倉の中心的人物、ソンベカフェオーナーの宇治香さん、鎌倉に無数あるネットワークのハブ的存在の一人、朝食屋COBAKABAの店主、内堀敬介さんに会い、彼らの思い、鎌倉についての見解を伺いました。彼らから鎌倉の魅力と特徴、自身の活動への思いなどを聞いて、僕の仮説を補強することができました。末筆ながらお礼申し上げます。
<MASA>