中川村ブログ

巷ではGoToトラベルでお得に旅行することが流行りですが、敢えてその流れに背を向けてGoToを使わない2泊3日の旅に行ってきました。 目的地は長野県伊那谷にある中川村。訪問目的は観光ではなく、中川村の暮らしを体験すること。

●中川村に行きたくなった理由

中川村とのご縁は昨年、亀時間に宿泊されたお客様が、中川村にある古民家七代を営む永子さんとお友だちで、当時の宿直スタッフかおりちゃんにお薦めしたことに始まります。かおりちゃんはその後、中川村を訪問して移住を決意し、この春に軽々と単身で実行に移しました。ペーパードライバーでしたが車を購入して、新生活をはじめて現在に至ります。

コロナに揺れていた6月、”地方への移住”をテーマに亀時間でオンラインイベントを企画。登壇をお願いしたのが、移住受け入れ側の永子さんと移住する側のかおりちゃんでした。
中川村を紹介する資料を読み、二人からお話を沢山聞いたので、村への興味は膨らむばかり。市町村合併で揺れた時の村長選挙で、合併反対側の代表になった移住者を村長に選んだことに村の開放性を伺い知れます。村長だけでなく、中川村には面白い人たちが沢山移住しているようなのです。そのような流れの結果、今回やっと念願が叶った次第です。

●中川村ってどんなとこ?

中川村は伊那谷の伊那市と飯田市の間に位置する、人口4800人の小さな村。中央アルプスと南アルプスに挟まれた、河岸段丘と呼ばれる地形に位置します。冒頭写真を撮影した標高1445mの陣馬形山から絶景が、近年のインスタブームで脚光を浴びています。

正直なところ、行きたかったけど遠いことに腰が重かったのです。鎌倉からだと、南アルプスに阻まれて遠回りしなければいけないから。実際は鎌倉から湘南新宿ラインで新宿駅へ向かい、WiFi環境がある高速バスに乗れば、スマホで動画を見ているうちに到着してしまう楽さを知り、ぐっと距離が縮まりました。

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バスを降りると、鎌倉より気温も低く雨降り。寒さが苦手なので「長野の寒さ恐るべし」と身構えましたが、翌日以降は快晴で暖かったのでホッとしました。
”谷”と聞いて狭苦しい先入観を抱いていましたが、訪れてみると実際には平地が広く、どこからでもアルプスの山並みが見えて、むしろ広々とした雰囲気。つい最近冠雪したばかりのアルプスの峰々、稲の収穫が終わり広々した田んぼ、林檎や柿が実る秋の農村風景が美しかったです。

●江戸末期に建てられた立派な”古民家七代”

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七代にチェックインしてお昼ごはんをごちそうになりました。古民家七代は永子さんの七代前のご先祖が江戸末期に建てたという、大きく立派な古民家。亀時間の倍のサイズはあります。一度は村を出た永子さんがピースボートの船旅で世界を見て回った後、戻ってきたら村の素晴らしさと沢山の可能性に気が付いたそう。解体計画が持ち上がっていたのですが、古くても価値のある建物を守りたいという永子さんの強い願いで存続が決定。冬から春にかけての味噌づくりと宿泊、竹細工ワークショップを中心にした運営を行っています。永子さんは村で顔がとても広くて、間伐材を地域通貨に交換する「木の駅プロジェクト」、村の長老たちから昔の話を聞きて記録する「山里聞き書きプロジェクトin 中川村」にも関わっています。彼女を通じて移住を検討する人もいて、村の窓口的なキーパーソンです。

●暮らすように滞在する

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その後、訪れたのはかおりちゃんがお手伝いしている「暮らしの工房こねり」さん。愛知でデザインの仕事をしていたご夫婦が、理想の古民家を見つけて移住。現在は旦那さんが整体、奥さんが天然酵母パンを焼いています。雨が止んだ夕暮れ時、娘さんが「空がピンク色だよ」と教えてくれたのですが、「空もキレイだけど、そういうことを感じられるあなたの心が美しいね。」と自然に答えている奥さんのさおりさんの目線に、ハッとさせられました。旦那さんは田んぼと畑の面積をどんどん広げているそう。さおりさんの優しそうな顔から想像がつかないのですが、自分たちの暮らしを実現していく生活力の強さに感服しました。

IMG_5584元亀時間スタッフかおりちゃんと”こねり”のさおりさん。

2日目はお昼ごはん作りを担当。地元スーパー”チャオ”に買い出しに行き、購入した地場のきのこ、かぼちゃを使ってココナッツカレー、ダルスープ、林檎と春菊のマスタードサラダを作りました。そこへ、ランチにお呼ばれされた元狩猟ガール、しおりさんが登場。持参した鹿肉をローストしてくれ、プレートの上でマサカレーと夢の共演(←自分で夢とか言うな)。狩猟免許も持っているけど、今後はキッチンカーを作って鹿肉料理を出すそう。若いのに行動力があって凄いなあ、脱帽です。

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午後は、かおりちゃんが働いている有機農業を営むあめつち農園さんにお邪魔して、今年初のサツマイモ掘りをお手伝い。6月のオンラインイベントでは、希望者にこちらの農園の野菜詰め合わせを送らせてもらい、お世話になった関係です。奥さんは地元出身なのですが、旦那さんとUターンで就農されたそう。

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あめつち農園の松原夫妻とかおりちゃん。

スケジュールの都合で、1時間程度しか仕事が出来ず仕舞い。大した労働も提供できなかったくせに、ちゃっかりお土産に芋を貰う芋泥棒になってしまいました。今年の出来を占うかのように、芋を丁寧に楽しそうに掘るご夫婦の笑顔が素敵でした。秋晴れの畑で土のにおいを嗅ぎ、鳥の声を聴いているだけで、気持ちよかったです。

●”ずく”を惜しまない暮らし方

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味噌の発送準備をする永子さん。

七代は建物も立派ですが、台所の美しさは特筆に値します。整理整頓されているだけでなく、よく見れば道具一つ一つが手作りだったり、上質なものばかり。道具は、時間をかけて少しずつ買い足してきたそうです。出発の日、朝日の差し込む台所でえいこさんが作ってくれた厚揚げのねぎ味噌挟み焼きが絶品でした。ごまは炒るところから始めたり、ネギをすり鉢ですったり、という手間(”ずく”とこの辺りでは言い、よく使われることに、手間をかけることが当たり前な、村ならではの暮らし方が垣間見えます)を惜しまない、丁寧な手仕事が印象に強く残りました。街暮らしで楽することばかり考えている人間には簡単に真似できませんよ!

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IMG_5656栗の皮むきをする永子さんとスペシャルゲストの渋谷系フリースタイル僧侶神田さん。

永子さんとかおりちゃんのご協力のお蔭で、たったの2泊ですが中川村での暮らしを疑似体験することが出来ました。かおりちゃんもまだ滞在歴半年ですが、魅力的な地元の人たち、移住者たちと繋がって、自分の生活をしっかりと作っていて、彼女の柔軟な適応力に感心しました。地方では当たり前のことかもしれませんが、この村ではコミュニティに関わって生きていくのが楽しそうです。

コロナで世界が揺らぐ中、僕たちはどう生きるのかが改めて問われています。
中川村で出会った人たちは、力むでもなく自然体で、それぞれが創意工夫しながら楽しそうに生活をしていました。いつか遠い将来は田舎暮らししたい思いはあるのですが、彼らの生活する姿を目の当たりにして、逆に僕は僕らしくいれば良いのだと気付かせてくれ、しばらくは街で生きようと改めて思いました。

七代とは不思議なご縁を感じます。世界を旅して日本に戻ってきて、日本の良さを再認識していく人生の流れも一緒ですし、永子さんが味噌作りを中心に運営をされていることは、亀時間が毎年味噌作りワークショップを開催していることと共通項があります。また、七代に泊まった翌朝、さり気なくステレオから流れてきた高木正勝のMarginalia#5は、僕も亀時間でお客様を迎える前、場を整えるために流しているお気に入りの1曲。どこか根っこが一緒だから同じものを良いと思うのかもしれません。

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気候も良く、秋晴れの青空の下、紅葉が始まった陣馬形山からの絶景、清流のせせらぎ、林檎や梨が実る秋の村の美しい風景を感じて、”日本で最も美しい村”の肩書に嘘が無いと分かりました。土鍋で炊いた栗ご飯や柿や葡萄をいただいて、長野の秋の味覚を堪能し、温泉も入ってほっこり。

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IMG_5681左から元亀時間スタッフかおりちゃん、古民家七代の永子さん、神田さん。

お会いした皆様、本当にお世話になりました。また季節を変えて暮らすように訪れたい場所です。

●訪れた場所の情報

古民家七代
http://nanadai.net/

あめつち農園
instagram.com/ametsuchi_nakagawa/

くらしの工房 こねり
https://www.instagram.com/kurashinokobokoneri/

啓榕社
https://www.facebook.com/%E5%95%93%E6%A6%95%E7%A4%BE-741379519303670/

※中川村ではないのですが、飯田のカフェ狐にて週2~3回くらい営業するカフェ。
店主である神藤さんの人柄に惹かれて、沢山の人たちが集います。まだ営業を始めて数年なのに4組ものカップルが成婚したという話に驚愕。身体や心の調子がイマイチな方は、彼と一緒にカフェ目の前の公園で四つん這いになって歩けば快方に向かうこと必至(最初はなんのこっちゃですが本気です)。飯田のパワースポット。

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<MASA>