滑川を踏破せよ!海から山へ鎌倉の川を遡る
※注意 危険な場所も沢山ありました。
良い子の皆さんは決して真似をしないように!
鎌倉市には幾つもの川が流れていますが、
一番代表的なのはなんといっても材木座と由比ガ浜の間を抜けて海に注ぐ滑川。
全長5.6kmの二級河川です。
河口から源流まで遡ってみようと、亀時間探検隊が結成されました。
隊長はマサ、隊員は元宿直スタッフのロミちゃんと亀時間の庭師、峰ゆりこ。
梅雨の晴れ間を利用して、朝9時に河口で待ち合わせ。
ところがロミちゃんは自転車が途中で故障して遅刻、
僕はおむすびを握っていて遅刻。
出発は9時40分と相成りました。
亀時間ってやつです。
こちらが川の一生の最後、河口部です。
母なる海に注ぎ、大いなるものと一つになります。
いざ源流へ出発です。果たして源流まで辿り着けるのか、
行ってみないと分かりません。
すでにももまで水に浸かっています。
川の流れに逆らって進むというのはそれだけで筋トレです。
日頃の運動不足がたたって、かなりの疲労感です。
7月1日に海開きされた由比ガ浜。
川を歩いていると海の家工事のおじさんたちから、
「石投げていい?」とからかわれました。
こちらフグさん。オレンジ色のアイシャドウが綺麗です。
すでにご臨終でした。
前方が腰より深くなっており立ち往生。開始からまだ30分も経っていないのにゲームオーバーなのか?!
崖を登って迂回することも考えましたが、そちらも藪に行く手を阻まれていることが判明。
結局少し戻ってから反対岸を歩くと難関を突破できました。
鎌倉女学院近く。この辺りは緑が川にせり出しており気持ち良いです。
警備員のおじさんが橋の上から、「カワセミもいるよ」と教えてくれました。
野生のクレソン。かなり水の透明度は高いのですが、
生活排水も混じっていることを考えると食べる気にはなれません。
ロミ隊員、岩の上で「ここは私の島!」と独立を宣言。
子供の頃そんな遊びをよくやっていました。
そういえば、ムツゴロウ王国なんていうのもありました。
よく考えるとムツゴロウさんは王様だったんですね。
人力車もよく訪れる琴弾橋。
この辺りも水辺の風景はとても綺麗です。
水底に写るアメンボの影。
木苺はあちこちに実っていて味見しましたけど、
ちょっとエグ味があって美味しいとは言えませんでした。
琴弾橋の北側は互換工事もされておらず、自然がそのまま残っており、
今回の遡行でも最も綺麗な場所でした。
こちらも琴弾橋と並んで有名な東勝寺橋。
社会見学に来ていたた小学生が橋の上から
「何をしているんですかー?」と大声で訊いてきました。
「一緒に川を歩こうよ、気持ちいいよー!」と僕。
すると真面目そうな女の子が「私達、時間が無いんです。」と大人びた返事。
彼らはすでに時間泥棒と契約してしまっているようです。
「時間は作るんだよ。」と教えてあげましたが、まだ分からないだろうな。
今回使用した靴。水陸両用靴が二名、ギョサンが一人。
ギョサンは踏破には向いておりません。あちこちに擦り傷が出来ました。
体の色が美しい糸トンボのカップル合体中。
伴侶に出会えて良かったね。
報国寺付近。この辺りは車道と平行しているので、車の騒音がうるさいです。
橋の上からまた声をかけられました。
子供の頃から浄明寺で育ったという自称「ホタルおじさん」です。
その昔、公害がひどくなってホタルがいなくなった時に、
自分が持っていた田んぼに山形から取り寄せたカワニナを放流して、
ホタルを呼び戻そうとしたことからその名がついたそう。
シラスをエサに鮎を採ったり、ミミズで鰻を釣ったりと
古き良き時代の滑川の話をしてくれました。
浄明寺のホタルおじさんが、清水ガニという名前で呼んでいたカニ。
これを食べて大きくなったと仰っていました。
お昼休憩できる場所を探し続けてすでに14時半。やっと良い場所を見つけました。
随分前から隊員たちの士気が下がっていることを、隊長はヒシヒシと感じておりました。
せせらぎをBGMに食べるご飯は美味しいです。僕の手作り愛亀弁当、隊員もエネルギー補給して元気になりました。
この岩壁の”滑り(なめり)具合”に注目。
ジャマイカのボブスレーチームがスルーっと滑っていきそうなカーブ。
長い年月をかけて川の水が削ってできた風景です。
右に進むか左に進むか、運命の分かれ道。
スマートフォンのGPSにはトレッキングルートが載っていないので役に立ちません。
かなりの上流まで来ました。ここは本当に鎌倉なのか?!の秘境感が漂っています。
蜘蛛の巣を棒で避け、藪に道を阻まれても怯まずに、体中にゴミを付着させながら何度も突進。
すっかり体中が汚れてしまいました。精神的な疲労感は半端ないです。
ただでさえなかなか前に進めないのに、これ以上進むと
僕の出勤時間に間に合わなそうな気がしてきました。
仕方無く、山へと迂回します。
尾根伝いに歩いていけば、天園のハイキングコースに辿り着くはず。
ところが笹藪を漕いでも漕いでも道は現れず、密かに隊長の心にも不安の雲が立ち込めてきました。
道無き道を行くというのは、スリルがあるけどリスクが常に伴います。
ロミ隊員は蜘蛛の巣が自慢のドレッドヘアに絡まったり、
藪で顔を蚊に刺されたりで、ご機嫌が傾いています。
怖いよー。何としてもたどり着かねば。
やっとの思いでハイキングコースへ到着。整備された道って素晴らしいですね。
3人の気持ちは「道を作ってくれた人ありがとう。」の一言に集約されました。
歩道に流れる一筋の流れ。昨晩の雨が集まってきています。この水も谷を下って滑川になるのです。
ここを今回の滑川源流と名づけました。
瑞泉寺脇にあるハイキングコースの入り口。久々に見る人里。
手付かずの自然の中から戻ってきたからか、懐かしささえ覚えました。
アスファルトの道に戻ると、いつもより硬く感じます。
ゴールの鎌倉宮、16時40分着。ここからバスに乗って帰りました。
全行程7時間、一日がかりの川の旅。
ところどころに手付かずの自然も残っており、知られざる鎌倉の奥深さを体感することができました。
水質も河口部や流れが淀んだ箇所以外はかなり綺麗でした。
川の中、上、そして川べりには多様な生物が生きていました。
瑠璃色の美しいカワセミも僕らをかすめて飛んでいくのを見ることができました。
これまで橋の上から眺めるだけだった川も
自らその中に入ることで、見え方が変わり、距離が縮まり親近感が湧いて来ます。
ロミ隊員は滑川に「なめっち」とあだ名まで付けてました。
山から降りてきて、街に戻ると鎌倉が違う様相で見えてきました。
もちろん見た目は何も変わりませんが、自分の脳内で、
鎌倉という小宇宙に今日見た滑川の景色が織り込まれたのです。
自分の中の鎌倉は昨日までの鎌倉と確実に違うものとなりました。
遠く旅行に行ってから家に戻ると、自分の街が違ってみえるという体験を
したことの在る方は多いと思います。それはきっと自分にとっての日本観、
世界観が旅で訪れた時の記憶とともに新しく更新されるからでしょう。
旅・冒険は、一時の体験だけでなく、自分の内面世界を拡げてくれるから
楽しいのではないでしょうか。
そして遠くに行かなくても、視点を変えることで自宅の近くでも冒険は可能です。
冒険心はいつまでも忘れたくないですね。
次回の亀時間探検隊の活動をお楽しみに。
<MASA>