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北海道の最北端より歩いてきた男

昨夜の亀時間に投宿した男性。
身体は日に焼けて浅黒く引き締まり、風を切るような颯爽とした雰囲気をまとっている。
話を聞いて驚いた。なんと北海道の最北端、宗谷岬から徒歩で歩いてきたのだ。
鎌倉に到着するまでにかかった日数は55日、約二ヶ月。
一日平均30kmから40km歩くという。

歩く男、司波伸作さんは元教師。
退職を期に、日本を縦断することを決意。
同郷、兵庫県出身の冒険家、植村直己が3000km南極横断計画の訓練で、
同じ距離の北海道から鹿児島まで51日で歩いたという話を知ったことが
きっかけだったという。

東北は青森から、震災被害を受けた岩手、福島を歩いた。
地元の人に声掛けすると、皆一様に震災当時の様子を語ってくれたという。
彼は神戸の震災を経験しているだけに共感できるものが多くあった。

東京は深川にあったという松尾芭蕉の庵跡を訪ねたり、
赤穂浪士が吉良上野介を討った後、松坂町から泉岳寺まで
歩いたであろう道を辿ったり。
文学や歴史への造詣が深いので、旅しながら見える世界も重層的なのだろう。
東海道は「弥次さんと喜多さん」の足跡を探しながら旅するに違いない。

新幹線が時速200km以上を出して全国を飛ぶように移動が出来る時代に
敢えて歩いて旅をすること、それはある種の贅沢だと本人も言う。
お金がかかる、時間もかかる、体力も必要。

「正直なところ一日40km歩くとしんどい」と告白してくれた。
歩き始めた北海道ではマメが痛み、数キロしか歩けない日もあった。
都合いい距離に宿がある訳ではないから、
その日の宿に辿り着くために必死になることも。
雨の日も歩く。風の日も歩く。夜明けと共に宿を出てずっと歩いてきた。
しかし歩くから見える世界がある。
歩く目線で、今の日本を生きている人々の営みに触れたいと司波さんは言う。

日本だけでなく、アメリカやインドネシアでも教鞭をとっていただけあり、
多様な価値観を受け入れる懐の深さを話し振りから感じた。
今日は平塚の元教え子のところを訪ねるという。
大人になった教え子たちを全国に訪ね歩くことに、
教師という仕事をやり遂げた人の幸せを感じた。

彼のゴールは鹿児島最南端。
到達した時に感じるであろうものを再び聞いてみたい。

司波さんは歩きながらブログを更新しているので、チェックしてみて下さい。
http://blogs.yahoo.co.jp/s_shiba2

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