イトケンさんは、地域通貨なみなみの仲間。
彼とは2009年、僕のムビラ教室の生徒さんとして知り合いました。

その後、葉山のお宅にお邪魔した際に、
鎌倉の古民家でゲストハウスをやりたいという青写真を話したら、
現物件に繋がる方を紹介してくれた恩人です。
亀時間改装中には、忙しい合間を縫って、
屋根裏掃除などのお手伝いもしていただきました。



彼は保険を取り扱っていたので、
亀時間開業にあたって、仕事のお願いもしたのですが、
代理の人を紹介されて、あれれと思っていたら・・・
仕事をキッパリと辞めてキャンピングカーで旅にでると言うではないですか!

しかも、ただのキャンピングカーではありません。
軽油だけでなく、廃油をろ過して燃料にして走ることが出来る
WVO(Waste Vagetable Oil、廃植物油で走る車のこと」)なのです。



9月25日、キャンピングカー「イイから号」に乗って、
葉山から淡路島を目指して旅立ちました。
その後は九州まで行き、約2ヶ月合計7,000kmの旅を
ほとんど廃油のみで移動してきたそうです。
11月13日に葉山環境フェスタ併催で行われた
TT葉山・TT鎌倉合同イベント「できるぞエネルギーシフト」
において車をデモンストレーションするために、戻って来ました。

先日、葉山にいるイトケンさんに会いに行き、
インタビューをしてきたので、その模様をお届け。
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そもそも、キャンピングカーで放浪の旅に出ようと思ったきっかけは何ですか?

「元々は農的な暮らしをしたかったんです。
食べ物、エネルギーは少しでも自分たちで自給してという。
トランジションタウンの運動ってそういうことじゃないですか。

リーマン・ショックの時、直接被害はありませんでしたが、
自分たちが砂上の楼閣にいることが明確に分かりました。
お金に依存した生活だと、大きな変化があったとき困ってしまうと。
だから、地に足を付けた自給的生活をしている人と
繋がることが大切だなあと思うようになったんです。
食べるということが人間の原点ですから。

行動に移したきっかけは3・11。
家が崩壊し、流されていくのを眺めていて。
関東にも程度は様々ですが放射能がやってきたわけです。
やはり、場所に拘っていると囚われてしまうなあと。
家というものを手放してみたらどうなるか、
という実験をしたかったんです。

自由に移動できる手段としてディーゼル車を探していました。
ワゴンカーでもなんでも居住空間があれば、
必要な荷物を詰めるだけ詰め込んで、
移動しながら生活しようと。
調べていたら10年くらい前のディーゼル車なら、
廃油で走れるように改造出来ることが分かって。」

新しい車は改造出来ないんですか?

「電子制御だったり省エネモードなどがあってうまくいかないそうです。
大阪の中古車販売店で整備されたばかりの中古キャンピングカーを、
ネットで見つけて、これだ!と思って定休日を挟んで翌朝、
新幹線のぞみ号に乗って見に行き、
その午前中には購入する契約を結んでしまいました。」

大胆ですね!
車の改造はご自身でやられたんですか?

「和歌山にいる師匠と一緒にやりました。」

改造期間は?

「2日ですが、実働はたったの3時間です。
ホームセンターに材料を買いに行ったり、
どこにパイプを付けるか等の検討のほうが時間がかかりました。」

改造費用は幾らくらいかかったんですか?

「人件費込で14万円くらいでしょうか。」

そんな少額で出来てしまうんですね。

構造について教えてもらえますか?
「とてもシンプルです。重力だけで濾過した廃油を




<ろ過装置>

ラジエーターの熱で温めてからエンジンに送るだけです。
軽油でも走れるように切り替え出来る電磁弁をつけて。」




<燃料系統>

燃費はどの程度なのでしょうか?

「リッター10kmぐらいですね」

こんなに大きい車で10kmは優秀ですね。
日本には廃油カーは沢山走っているんですか?

「恐らく100台くらいじゃないかと言われています。
キャンピングカーのWVOは恐らく僕のイイから号だけ、
更にろ過装置を積んで走っている車もイイから号だけじゃないでしょうか。
通常はろ過装置は積む必要がないので、自宅に置くのが基本ですから。」

日本で最初のWVOキャンピングカーであり、
初のろ過装置を積んだWVOなんですね!凄いです。

初歩的な質問で恐縮ですが、
ディーゼルエンジンは軽油で走るんですよね?

「そうです。ディーゼルだと軽油だけでなく、揚げ物などで使った
後に捨ててしまう廃油を使って走らせることが出来ます。
元々ディーゼルさんというディーゼルエンジンを開発した人は、
石油に依存しない車を作りたかったそうです。
当時ピーナッツオイルが豊富にあったので、
植物油で走る車をつくろうとしたということです。」

ディーゼルって人の名前だったんですね。
改造にあたっては車検等、法律の問題はあるんですか?

「改造申請は必要無いのですが、
先日陸運局に行って、植物油でも走る車であることを
車検証に記載してもらいました。
書類の変更だけなので、用紙代の40円で済みました。

実はガソリンに水などを混ぜて水増しする行為を防ぐために、
ガソリンには混ぜ物をしてはいけない法律があり、
ガソリン税、軽油税にかかる国税庁の管轄なんです。
僕の車もタンクを2つに分けて、構造的に脱税行為にならないように
しています。」

そうか、ガソリンを水増しすると脱税になるんですね。
車だと所轄は国土交通省かと思いましたが、国税庁というのが意外です。

今回の2ヶ月の旅についてお聞きしたいのですが、
どちらを回ってきたのですか?

「葉山を出発して逗子―小田原―河口湖に行き、信州経由で、
浜松から滋賀の彦根に寄り、大阪―淡路島―四国をぐるっと、
そして岡山に戻って―北広島―島根―山口。
九州に入って大分―宮崎―熊本。
帰りは福岡―島根―米子―岡山―奈良―京都―彦根―鈴鹿―伊勢。
鳥羽からフェリーに乗って愛知の伊良湖まで行き、浜松、岐阜、
山梨そして、葉山に帰って来ました。」

道中はトラブルなどはありましたか?

「トラブルらしいトラブルはほとんど無かったです。
エンストが4回ありましたが、全部ただのガス欠でした。」

燃料である廃食油はどうやって調達したんですか?

「出発前には、トランジションタウンのメーリングリストで
仲間にお願いしたりして30リットル集めて出発しました。
行く先々では自然農をやっている農家さん、
WVOを所有している人の繋がり、全国のトランジションタウンの人々、
大阪の菜の花プロジェクトさんなどに頂戴しながら移動しました。
うどん屋さん等でも頂きましたが、
美味しいうどん屋さんは廃食油もとても綺麗でした。
関西では一度100リットルも集まって油長者となりホクホクでしたよ。
これで1000km走れるぞ!と。
道中は後部荷台に載せたロケットストーブでお茶を沸かしたり、
パスタを茹でて食べたりしました。


<ロケットストーブ>

ロケットストーブを搭載して旅するのはいいですねえ。
旅から戻ってきた感想は?

「今回走行距離7000kmということは、約700リットルの
廃食油を調達したということ。これは凄いことですよね。」

廃食油ネットワークトに乗って西日本をサーフィンしたみたいだなあ。
知り合った皆さんとの出会いと親切が嬉しいですね。

それでは最後に、今後のビジョンについて教えていただきたいのですが。

「今回の旅は移動が中心だったので、次は一箇所にもう少し滞在したいです。
旅でご縁が出来たところに戻って、草花が咲き乱れる春になったら、
山に一緒に入って食べられるものを教えてもらったり、
ツリーハウスを作ったり。青森、北海道まで行くプランもあります。
目標、目的はあまり決めたくないのですが、
自由にさせてもらえる場所があれば、
ツリーハウスはやってみたいですね。
地元の廃材を使って地元の方々と一緒に作って。
今回の旅でお世話になったところで、
くるみの木にツリーハウスを作ってもいいよという話もすでにいただいています。
まずは、そこにしばらく滞在したり、情報交換と集まれる場を作りたい。
ツリーハウス+α。可能ならそんな場所が、
一回の給油で走れる200km間隔で全国のあちこちに出来るといいですね。

経済的にどうしていくかは今後の課題ですが、
旅を通じて方向性を見出していくつもりです。
今、那須の非電化工房で『月3万円ビジネス』の勉強もしているのですが、
少額でいいから、ビジネスとして持続していけるような場作り、
次の糧になるもの、楽しみ、自然に即した生き方を
気づかせてくれるような場所を作りたいです。」

今回の廃油キャンピングカーでの旅、
そして今後の人生の予定について、目を輝かせて語ってくれたイトケンさん。
話を伺って、夢がどんどん広がっていく楽しさを一緒に味わうことができました。
子供の頃に、まだ見ぬ場所へ冒険してみたいと思った憧れを
彼はそのまま今、実現しているようでした。

「イイから号」は12月26日に再び旅に出るそうです。
使用済み天ぷら油があるよ、という人は亀時間までメールでご連絡下さい!

また、イトケンさんは以下のようなことが出来ます。

1) 2タンク方式WVOの試乗会
2) 廃植物油を濾過タンクに投入して、WVOの構造を紹介するデモ
3) ロケットストーブ型コンロでお湯を沸かしてお茶パーティ
4) 廃油キャンドルや廃油ランプを作って本や絵本の朗読

エコ系イベントなどで引っ張りだこになりそう。
こちらのご要望がある方も亀時間までお問い合わせ窓口よりご連絡下さい。

イトケンさんのブログはこちら
http://ameblo.jp/kenchan888

<MASA>