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先日フィリピンでの英語留学の様子を伝えてくれたしょうちゃん(リンクはこちら)が去った後に3月、4月の宿直スタッフとして活躍してくれたのが、“とりちゃん”(写真左から4番目)。彼女は5月に日本を出発して、スペインに少し滞在したあと、昨年に引き続いて再びドイツへドイツ語を勉強しに行くと聞いていたはずなのに、現在スペインで語学留学をしていることが分かりました。どのような経緯でそうなったのか、そして現地滞在の様子をインタビューしました。しょうちゃんのリポートと合わせて読むと対照的で興味深いと思います。それではどうぞ!

●まずスペインで語学留学を始めた経緯を教えてください

これまで、ドイツ語が好きで、趣味で学んでいました。今回はスペイン語をちょっと勉強して、旅した後にドイツに行く予定だったのですが、あまりにも天気が良いのと、食べ物が美味しいので、ドイツをやめて思い切ってスペインをしっかり楽しむことにしました。

今回、スペインに語学留学をしたのには、ゲストハウスでヘルパーをしていたことが大きく影響しています。大半のゲストは英語が話せましたが、なかには英語が不得意なゲストもいました。彼らともっとコミュニケーションを密にとって、欲しいインフォメーションを渡せたら、お互いにハッピーになるなあと思いました。それで、他の言語も日常会話レベルまで習得したいと思ったのがきっかけです。

今後も観光の世界に携わりたいので、英語、ドイツ語の次は、フランス語かスペイン語だなと。フランス語は発音面で敷居が高そうなので、響きになじみがあるスペイン語に決めました。また、中南米に行ってみたいので、治安面で不安が少ないスペインで少し語学を身につけてから行きたいなと思ったのも理由のひとつです。
さらに、ドイツで仲良くなったカタルーニャの人たちとお喋りした際に、「スペインとカタルーニャは違う。自分たちはスペイン人ではなくて、カタルーニャ人だ。」と強く言っていたことが印象に残り、スペイン全土を見て回りたい気持ちが強くなりました。

首都マドリードから真っ直ぐ南に下がるとグラナダがあります

語学を磨くならば、現地に行ったほうが短期間で伸びるというのは経験済みだったので、行ける時期に行こうと、わりと短期間で決めました。

はじめに、バレンシアに3週間滞在しました。ツアー客があまり行かない街だと聞いたこと、それから地中海が近く、なおかつ学校のそばに大学があるので、現地の人と交流する機会も多いのではないかと思って、決めました。しかし来てみたら、実はけっこうな大都市で、あまりなじめなかったので、より小さな街であるグラナダに移動しました。
学校は、スペイン各都市に姉妹校があるので、自由に転校できるのが魅力で、いまのところに決めました。グラナダはバレンシアよりも物価が安い印象で、こじんまりした街です。ヨーロッパとアラブの文化が混在した、歴史的にも魅力ある街なので、非常に気に入りました。

グラナダのお祭りにて

グラナダのお祭りにて(2)

●事前の手続き無しでいきなり入学できるものですか?また、観光ビザで何ヶ月滞在できますか?

いきなり入学もできるようです。ただ、私の場合、まずはちょっとスペインに滞在するつもりだったので、直前に日本の無料エージェントを見つけて、申し込んでいました。特に手数料もかからないところだったので、学費と滞在費をまとめて頼みました。2週間のつもりが、1ヶ月、そしてさらに3ヶ月と伸ばしました。長期だと、滞在費なども少し安くなります。ホステルに長く滞在するよりも、経済的だと思います。保険はネットから申し込みました。

また、観光ビザで90日間滞在できます。その国に入国する日から出国する日を数えます。スペインからだとモロッコが近いので、例えばモロッコに数日滞在した場合は、その日数はカウントされません。(無料というより、短期滞在ビザ免除国と言ったほうが正しいかと思います。)

●大体の予算と期間を教えてください

ホームステイ先の朝食

ざっくり学費は3ヶ月分で50万。滞在費30万、飛行機代10万、その他雑費であわせて100万くらいです。宿泊先はホームステイにしてみたのですが、ホストマザーがスペイン語しか話せず、必然的に喋らざるを得ない状況のおかげで、はやく上達している気がします。お昼ご飯もパエリヤやサンドイッチが2〜3ユーロで買えるので、出費は少ないです。観光や買い物をしたかったらその他交流費を多めに用意するといいと思います。

今いる学校は、途中でアパートに変更したり、コースを変えたりもできるので、予算にあわせて柔軟に変更できます。個人的には、ちょっと思い切って、ホームステイにした方が、最終的な出費が少ないのではないかなと思います。洗剤などの消耗品を自分で購入すると高くつきますし、全て持ってきても荷物が重くなります。グラナダはバルではたいてい、飲み物代のみでタパスも食べられます。日本だと「ただタパ」と呼ばれているみたいですね。安くて2ユーロでお腹いっぱいになるので、非常に安くあげられると思います。

このタパスは、オリーブの実と、パンに鶏肉がのっていて、塩コショウ、オリーブオイルで味付けされています。スペインはどの料理にも、これでもかというほど、オリーブオイルがかかっています。

最近わかったのですが、グラナダは物価が安いので、学生向けピソ(アパート:部屋は個別で、トイレやキッチンが共同使用するタイプ)だと、月150ユーロくらいで借りられるそうです。その場合、基本は1年契約になり、ビザの証明書など、ちょっと手間がかかりますが、長期滞在ならばそちらの方がお得ですね。もし、次回長期でくることがあれば、学生向けピソを探したいと思います。また、友人のなかには、AirBnBで滞在している人もいます。長期滞在だとちょっと安くなると言っていました。

●1週間のカリキュラムの内容を教えてもらえますか?

語学学校主催、グラナダのシティツアー

授業の風景

平日、月曜日から金曜日まで授業があります。バレンシアでは、9:30にはじまり、11:20から40分まで休憩。休憩後は13:30まで授業でしたが、グラナダでは9時から10時半。休憩が30分あり、その後13時まで授業です。

スペインでは、時間のない朝は珈琲のみで済ませる人が多いそうです。従って、休憩時間の10時半から11時頃にCafé con Leche (カフェ・コン・レッチェ。直訳すると、牛乳入り珈琲)、ポカディーリョ(サンドイッチみたいなもの)やトルティーヤなどを食べています。先生は休憩時間になると、「さあご飯だー!」と嬉しそうにそそくさと出て行ってしまうので、授業中に質問はがんがんしないといけません。

レストランやカフェ以外は、大体15時から17時までシエスタで閉まります。天気が毎日良いので、バレンシアでは公園や近くのカフェでお昼をとった後、友人と一緒に宿題をしたり、家に帰って昼寝をしたりしていました。グラナダでは朝ご飯と昼ご飯を家でいただき、夜はバルでタパスを軽く食べる程度です。

宿題も毎日出ますが、友人やホストマザーとおしゃべりするのが一番、いい練習になっています。また、今の家では他に数人の女の子がステイしているので、お互いにスペイン語で話せるので、非常に嬉しい環境です。24時間スペイン語漬けです。日が長くて22時にようやく日が沈むので、1日がとてものんびりしているように感じます。

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●学生はどこから来た人たちが多いですか?

ヨーロッパが多いです。バレンシアではフランス人とドイツ人。次に日本人・韓国人・中国人でした。ドイツ人はビーチが好きなので、内陸部のグラナダにはほとんどおらず、グラナダにはアメリカ人とイギリス人ばかりです。

●ヨーロッパはそれなりに物価が高いと思いますが、一日の生活費はどれくらいですか? 

現在1ユーロ140円程度です。物価自体は、日本と変わらない印象です。フルーツは安いと思います。1キロで2ユーロ前後です。オレンジやサクランボ、スイカ、ビワなどが街のあちこちで売られています。フルーツ好きとしてはとても嬉しいです。バレンシアは海沿いの街なので、魚や貝は種類は豊富にありました。グラナダのバルで魚介類専門のところもあり、魚も割と頻繁に食べるようです。この前は、家でサバの塩焼きが出てきて、日本の味とまったく同じでした。カフェは1杯1.2ユーロのところが多いです。アイスは2〜3ユーロ程度。洋服は、スペイン発祥のZARAやMANGOが主流で日本と同じくらい。(あまり洋服を買わないので、よくわからないですが)。チュッパチャップスはスペイン生まれだそうですが、それも日本と変わらない気がします。最初に学費と滞在費をほとんど支払っているので、出費は1日5ユーロ以下です。ただ、学校の遠足で近郊の街にいくと、それなりに出費はあります。

●オフの楽しみ方を教えてください
 
平日は授業後に宿題をしたあと、散歩に出かけます。机に向かっての勉強は日本でもできるので、なるべく外にでて、公園やカフェで勉強しています。まわりにあるもの全てが、勉強の題材になるので、学校の行き帰りでも、周りの会話に耳をすませていますし、看板や広告を眺めて意味を考えたりしています。あとドイツ語と英語で会話すること。スペイン語で話す努力をしていますが、どうしても互いに意思疎通できない時は、言語を切り替えています。

基本ひとりでどこでも行くので、(こう書くと友達のいない寂しい人だと思われるかもしれませんが、一人旅が好きだと言うことですよ!)ウィンドウショッピングも楽しいですし、観光地でドイツ語が聞こえたら、話しかけておしゃべりを楽しんでいます。とにかく、喋ると思いがけない情報をもらったりするので、気軽に話しかけてみることが、よりこの国を楽しむコツかなと思います。「日常を知り、生活の中での会話を身につけること」が目標なので、こもりすぎず、遊びすぎず、バランスは難しいですが、どちらもまんべんなく楽しむよう心がけています。

学校の友達とモロッコに旅行

●生活の中の楽しいこと・大変なことは?

最初は、一日5食が基本なスペインの食事のリズムに慣れませんでした(それぞれ「食べる」動詞が5つあるくらい!)。しかし、もう慣れたので大変なことは特にないです。

楽しいことは、日々、言えることが増えていくこと。もどかしさはもちろんたくさんありますが、徐々に自分の表現方法が増えて行くのは単純に嬉しいです。また、英語が話せなくても、なんとか助けてくれようとしてくれる、親切な人が多い印象です。人づてで安く譲ってもらった自転車を、2週間で盗難にあい失ったので、警察署にいき、盗難届を出しましたが、そのときも英語で丁寧に対応してくれました。

●スペインのいいところ・いまいちなところは?

バレンシアのいいところは気候が非常に温暖なこと。魚、フルーツ、米文化なので、食事が口にあうところ。犬が多いのもみていて面白いです。いまいちなところは、街が広いので、移動するのには結構時間がかかります。

グラナダでいまいちなところと言えば、とにかく暑いこと。特に8月は猛暑なので、6月が観光ピークだそうです。最高で40度を超えます。なので、冷え性の私でも袖無し短パンで、日中は過ごせるので嬉しいです。特に夜は夜風が気持ちよいです。アラブ建築などの歴史ある芸術を毎日眺められるのはとても贅沢です。バルでお手頃に食事ができることや、アラブの雰囲気を感じられるところも気に入っています。

スペインでは、マリファナの合法化が進んでおりかなり驚きました!特に吸う人が多い夜にアルバイシンエリアを歩くと、マリファナの臭いがして、私はこの臭いがすごく苦手なので、その点ではいまいちです。実際は公の場では禁止なのですが、取り締まりもほぼないみたいなので、公園やカフェで吸っているひとがけっこういます。

●現在の心境を教えてください

やはり夏のスペインは言うことなしに、天気も気候も食事も完璧です。歩いているだけで発見があり、人との出会いがあり、非常に面白いです。

私は今、非常に安定した気持ちで、この国を楽しめていると思います。ただ、はじめて海外で長期滞在する人にとって、異国で不安定な気持ちになるのはよくあることです。そこで、異文化に溶け込むのには、おおまかに5段階にわかれるというアドラーの見解をちょこっとだけ紹介します。
 
簡単に言うと、はじめは全てが真新しくて、楽しい感情が続きます。しかし、だんだんと自国の文化と異なる文化が目につくようになり、新しいものと触れ合いたくなくなる、いわばひきこもり状態になります。
その後、自分のそれまでの価値観と海外の別の価値観を許容できるようになって、再び安定した気持ちになり、その国やり方で行動できるようになる、というものです。

これまで、ほぼ日本語だけで生活してきた人にとって、海外に行くと、いろいろ腑に落ちないことだらけでしょう。例えば、学校にはさまざまな国の人がいます。トルコ人はたいてい初対面なのに、遠慮なくプライベートのことを聞いてきます。はじめはぶしつけな人だと思いましたが、そうやって早く相手のことを知って、仲良くなろうとするお国柄らしいことがわかって、納得しました。私が日本人だとすると、手を合わせてお辞儀をされるのも、日常茶飯事です。

引きこもり期間も大事ですが、体当たりで荒療治的に、現地になじむという方法もありなのではないかなと思います。
ひとつひとつ、文化の違いを理解し、そして相手にも日本のやり方を理解してもらう努力を、いままさにしているところです。文化的背景を理解することは、言葉の習得以上に、時間が必要です。それを説明するには、言語能力はもちろんのこと、知りたい、伝えたいと思う気持ちが大切だと思っています。

●他の人にもオススメできますか?

オススメできます。とくに、慣れない場所での生活では、まず勉強以前に、生活面でのストレスがたまると思います。しかし、スペインという国は、気候は良いし、ご飯も口に合いますし、生活面でのストレスが少ないのでオススメです!自分の性格にあった都市を探す楽しみもあると思います。語学学校は本当にたくさんあるので、どこがいいのか一概には言えませんが、私の場合は、各地に移動しながらスペイン語を身につけたかったことから、姉妹校の多い、わりと大手の学校にしました。エクスカーション(遠足)が多い学校だと、友達もできやすく行動範囲も広がるのではないかなと思います。

●これからスペイン(あるいはヨーロッパ)に留学を考えている人へのアドバイスをもらえますか?

その国への興味はもちろんですが、関東平野や南国で育った人にとっては、北の方だと滅入るので、気候も考えた方が良いです。
また、スペインの場合、カタルーニャ、バスク、アンダルシアと地方に寄って、性格や雰囲気が全然違うので、ひとつの街だけでなく、いろいろ行って気に入った場所に長く滞在するといった、柔軟性をもっていくことをおすすめします。何カ所か見ただけで、嫌いになってしまったらもったいないので。  

また、ヨーロッパは物価が高いイメージがあるかと思いますが、来てしまえば、格安航空が発達しているため気軽に各国を移動できますし、やはり日本では体感できない、経験をたくさんできると思います。高い授業を払っていまいちな学校にだらだら日本で通うより、短期で気合いを入れて、集中して毎日勉強できる環境に身を置くほうが、断然身につくと思います。

それから、いちばん大切なのは、積極的に情報収集して、自分から動くこと。日本人だけで固まって勉強している人もいますが、日本でできることをわざわざヨーロッパでなぜするのでしょうか?よりいろんな国の人と会い、話して、意見交換できればより有意義な留学生活になると思います。多少のアクシデントにはへこたれず、毎日を楽しむことを、私自身も意識して生活しています。(終わり)

バレンシアの授業の後で

語学留学というと、全てを事前に決めていかないといけないような気がしていましたが、とりちゃんの場合、とりあえず2週間だけ申し込んで、あとから延長したり、姉妹校に転籍したりと柔軟に変更しています。そんなことが出来るということが、まず目からウロコでした。しかも語学学校経由でホームステイすると普通のホステルより安く滞在できるというのも物価の高いヨーロッパでは魅力です。最近は、どこの国に行くにしても無料エージェントが留学窓口になってくれていいるようですので情報収集が簡単にできますね。

もちろん、事前にしっかりと準備してから留学すれば、勉強に集中できるかもしれません。でも、彼女が言うように学ぼうという意欲さえあれば、現地にいるなら実践の場は周りの環境全て。現地の人々を練習相手にしてしまう勉強法は楽しそう。旅行と語学留学の中間のような彼女のスタイル自体もとても面白いですね。とりちゃんは元々英語だけでなくドイツ語もかなり上手だったのですが、これでスペイン語も身につけたら活躍の場が広がりそう。今後の更なる飛躍を楽しみにしています。

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